国語力皆無の小説『リアル鬼ごっこ』
突然ですが、みなさんは下記の文章を読んでどのように思われるでしょうか。
二人が向かった先は地元で有名なスーパーに足を踏み入れた。
出典:リアル鬼ごっこ (幻冬舎文庫)山田 悠介 (著)
「意味はわかるけど、文章おかしくない?」
ほとんどの人がこのように感じたでしょう。
しかし、これは間違いなく大ヒット小説『リアル鬼ごっこ』の一文です。このように「なんだかおかしいな」という文章は、小説・記事といった文章作品のいたるところで見つけることができます。
なぜこのような崩れた日本語の文章作品がヒットしているのか。そこに「文章を書くコツ」のヒントが詰まっています。
めちゃくちゃな日本語でいいから「書き切る」
ここで着目したい点は「文章は何だかおかしいけど、意味は通じている」ということ。そして文章のおかしさなんてものともせず、小説が大ヒットしているという点。
つまり読者は、「文章の美しさ」よりも「作品としての面白さ」を優先して評価しているということであり、「文章の美しさ」はそこまで重要ではないということです。
「文章を書けるようになりたい」と考えたとき、多くの人は「キレイな日本語文章の書き方」を学ぼうとします。もちろんそれも大事なことなのですが、個人的にそうした表面的な部分は最後でいいと考えています。
なぜなら「キレイな日本語文章を書かなければならない」と思い詰めるあまり、文章を書く作業が嫌になってしまい、記事が完成する前に投げ出してしまう人がほとんどだからです。
現に、山田悠介先生を鼻で笑いながら小説家になれない人の多くは作品を最後まで書き切っていないし、披露する努力もしていません。最後まで書き切ってはじめて「文章が書ける」と言えるのです。
「記事タイトル」「ファーストビュー」の重要性
また、どれだけキレイな文章で書かれていても、面白くなければ、そして興味を持たれなければ意味がありません。読者がぱっと見た時に興味を抱くか否かという点は、文章作品においてとても重要です。
『リアル鬼ごっこ』という作品は、そうした意味でも非常に優秀だと言えます。
「鬼ごっこ」と皆が知っている単語に「リアル」がプラスされている
→「何のこと?」と興味を抱く
→あらすじを読む
→奇想天外なあらすじで「続きが気になる!」
→購入(読む)
もしタイトルが『鬼は佐藤さん』だったとしたら、ここまで売れていなかったでしょう。どれだけ面白くても、キレイな文章で書かれたすばらしい作品であったとしても、まず「読んでもらう」ところまでいかなければ、文章として成立していても作品として評価されないのです。
だからこそ、最初に読者の目に入る「タイトル」と「ファーストビュー(あらすじ)」で心をつかまないと読んでもらえません。そうした観点からも、『リアル鬼ごっこ』は優秀な作品といえます。
文体が崩れていることは「悪」ではない
間違った日本語は校正作業の際に修正すればOKです。プロになれば、編集者が校正・推敲してくれます。だから、まずはめちゃくちゃでもいいから書ききること。それが、記事を書けるようになる最大のポイントです。