2015年に台東区・浅草橋のTODAYS GALLERY STUDIO.にてスタートした『変わる廃墟展』。「廃墟のイメージが変わる写真展」を開催し続け、10周年を迎えました。
2015年には4日間だった会期が、今や1か月になり、名古屋のギャラリーにまで巡回する規模になったなんて……廃墟のイメージが変わったのだなと思うと、感慨深いものがあります。だって10年前の「変わる廃墟展」も行ってるから……!
出展者数も増え、ここ数年ではドローンを使った空撮写真なども見られるようになりました。廃墟の持つ退廃的な美しさを、さまざまな視点、角度から捉えた写真展をご紹介します。
切り取られた「退廃の美」さまざま
廃墟も無限ではないので、同じ建物や同じ施設を撮影した写真ももちろんあります。しかし、クリエイターさんそれぞれにある、視点であったり美意識であったりが写し出されるのが、写真の面白いところ。同じ場所でも印象が違って見えます。
水力発電所や炭鉱施設、旅館や遊園地など、実にさまざまな施設がありますが「誰がどう見ているか」が大きく反映されているなと感じました。
人だけが消えた街

個人的には廃墟の街が好きなので、やはり軍艦島はアツい。
その流れで今回は、ノルウェー領のスヴァールバル諸島にある、ソビエト連邦の築いた炭鉱都市「ピラミデン」のゴーストタウンの写真も「人間だけが抜け落ちた」ような感覚があり、心惹かれるものがありました。

この街の雇用が、労働がここにあって、この街を動かしていた跡。
ともすればまだ人の出入りがありそうな建物の空気感。かつてそこにいた人間の温度を感じるようです。
展示方法が抜群に目を惹く!

面白かったのはこちらの展示方法! ジャパン!!
日本地図の配置で各都道府県の廃墟写真が展示されています。北海道がどどんとひとつではなく、4つに分割されているのもまた良き。広いですからね。

それぞれに何を撮影した写真かが記載されています。ここから人がいなくなるとこんなことになっちゃうのか……というのが見て取れて興味深いものでした。
特に興味深かったのは、沖縄のホテル。石造りだからかしっかり骨格が残り、温泉街などの朽ち方と全然違っていて。廃墟なんだけど廃墟っぽくないというか。ホテルなのにどことなく、水力発電所や炭鉱施設などのような雰囲気もあったりして。こうも違うか……という感じ。
ゴシック、ロココ、クラシカル好きに刺さる

これはもう大好きです。大好きな世界すぎてたまらん……!!
崩れ落ちた天井に輝くシャンデリア。剥がれた壁紙の傍らで美しいドレープを湛えるカーテン。テーブルと椅子のなめらかな曲線など。刺さるものがありすぎる……!

好ぅぅぅぅぅぅぅ……。何に使われていた施設か、筆者は存じません。しかし、ここにいくらかの煌びやかな時間が流れていたのかなと思うと、物質って儚いな、という気持ちにもなるというものです。
在廊中のクリエイターさんにお話を伺えるチャンスも
パネルのお写真を撮らせていただいていたら話しかけてくださって、少しお話を伺えたのがtoshiboさん。
国内外の廃墟に足を運んでは撮影をされており、イタリアや台湾で撮ったお写真の展示もありました。

こちらはイタリアの芸術劇場。オペラなどが上演されていたそうで、バルコニーもあります。こういうのも好き。円形の劇場、曲線が美しいですね。

こちらはドイツを模した北海道にある施設だそう。「ヨーロッパ調だから並べたら面白いかと思って」とのこと。これは騙されちゃう。
先述のシャンデリアの施設と同じ場所でしょうかね。

まるでわざわざ設置したような印象さえあるテーブルと椅子。
再訪すると、家具や小物などが増えたりなくなっていたりすることが、どこの施設でもあるそうで。手を加える人もいるんですね。toshiboさんは絶対に触らないようにしているとおっしゃっていたので、考え方もさまざま。
個人的には、廃墟には自然に朽ちていってほしい派です。なので、触らないでほしいなぁと思うのですが、まあなかなか。世にはいろいろな人がいて、落書きやイタズラなどもあります。全く自然にというのは難しいにしても。ねぇ。
東京展の会期は2025年3月30日(日)まで!4月5日(土)からは名古屋に巡回

現在開催中の東京展の会期は、2025年3月30日(日)まで。クリエイターさんが在廊している時間もあるので、運が良ければ直接お話を伺うこともできます。
開館直後か平日の昼間などは、比較的ゆったりと見られるかなと感じました。
自分ではなかなか足を運ぶことの叶わない廃墟。クリエイターさんたちの行動力に感謝しつつ、じっくりたっぷりと廃墟の魅力を楽しんでみてはいかがでしょうか。
次回vol.2では、物販や特別イベントについてご紹介します。
美しき廃墟の合同写真展&物販展
「変わる廃墟展 2025」
⚫︎東京会場
TODAYS GALLERY STUDIO.
〒111-0053 台東区 浅草橋5-27-6 5F
⚫︎開催期間
2025年2月28日 (金) 〜 2025年3月30日 (日)
⚫︎入場料
700 円 / 3歳以下は入場無料
⚫︎営業時間
平日 11:00~17:00
土日・祝日 11:00~18:00
⚫︎休館日
毎週月曜日
「変わる廃墟展 2025」特設サイト
TODAYS GALLERY STUDIO.公式サイト