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【1500円】磐梯山の美しい景色と不思議な世界を。『サルバドール・ダリ展ー天才の秘密ー』

シュルレアリスム宣言から100年、ダリ生誕120周年を迎える2024年は、近代美術史、ことシュルレアリスムにおいて記念すべき年といえるでしょう。

そんな記念すべき年に、ダリの芸術家としての人生をたどる企画展『サルバドール・ダリ展ー天才の秘密ー』が開催されています。会期は9月1日まで。

会場は、世界有数のダリ作品の所蔵数を誇り「ダリ美術館」とも呼ばれる諸橋近代美術館。ダリ作品はもちろんのこと、磐梯山の美しい景色もたっぷりと楽しんできました。

ダリ生誕120周年に相応しい《天才の秘密》を探る企画展

ダリ展だよ〜。天才の秘密だよ〜。(お出かけ仕様の推し。公式)

『サルバドール・ダリ展ー天才の秘密ー』は、ダリのシュルレアリストとしての側面と、その背景である人間としての側面を探るような構成の企画展です。

「天才を演じ続けて天才になった」ダリは、実は繊細な人間性を持っていたそう。油彩、素描、版画、彫刻などの作品に、その偏執的愛情の強さが作り出す夢想的幻想の中に吸い込まれたような感覚を覚えます。

衝撃的な描画のイメージが強いダリですが、技術は確かなもの。静物画の線の美しさは、思わず息を飲むほど。

また、実母、妹、妻と、ダリにとってのミューズが描かれた作品は、ダリがそれぞれに向けた強い愛の《種類》が違ったのかな、と感じました。

描いている人も年代も違えば、人生経験も違うのだから、向ける愛情だって違って当然といえば当然。しかし作品から放たれる空気やこもる力があまりにも違って、とても興味深いものがあります。

入り口のサイネージ。展覧会情報だけでなく、使用できる決済方法などの情報も表示されます。

「天才の秘密」と銘打たれた本展では、初期から晩年までの作品が展示されており、特に印象的だったのはダリにとって特別なミューズであった妻・ガラを描いたもの。

深く大きな愛を注いでくれた母親や、母亡きあとに偏執的な愛情を傾けた妹のマリアを描いた作品から感じ取れる対象への思いは、どこか澄んだ空気を感じたりもしました。しかし、妻であるガラに対しては、その熱量と湿度の高さが窺えます。

ガラに対しては血縁の家族とはまた違った形の愛や力強さを感じていたのかもしれません。また、お互いにどこかトロフィー的な役割を果たしていたようにも感じられました。

ダリにとって圧倒的なミューズであったガラ。それに対してガラは、天才を手中にしているという栄華に魅了されていたのかな、と晩年のふたりの関係性を知って感じたりもしました。実際のところは、当人たちにしかわかり得ませんが。

生憎の雨模様ですが、それでも美しい。

また、ダリ作品以外にも、デ・キリコやミロ、マグリット、エルンストといった「シュルレアリスムといえば」という画家の作品も展示されています。

個人的には、初めてエルンスト作品の実物を見られて感動したもので。ダリが自らの思い通りの世界を能動的に描き出しているように感じられるのに対し、エルンストはキャンバス上に偶発的に生まれたものを利用してその先を作り出している印象がありました。

ひとえにシュルレアリスムといっても、画家それぞれに違った趣があり、一時代の中にもさまざまな考え方、感性が反映されているのだと感じます。

体系的に美術を学んだ人にとっては当たり前のことも、ただ「なんか好き!」で見ている筆者にとってはとても興味深く、また、学びと実りのある時間となりました。

これは図録買って帰るわ。必携だわ。

ミュージアムカフェでひと息。企画展コラボドリンクも。

圧倒的なパワーのある展示を楽しんだら、そりゃおなかだって空きます。

諸橋近代美術館は、エントランス右手にミュージアムカフェがあり、コーヒーや軽食、企画展の会期中には限定のドリンクも楽しめます。

美食家ダリのシーソーダ 880円。バジルチキンのフォカッチャ 800円。(ともに税込)

企画展の限定メニュー「美食家ダリのシーソーダ」は、ダリの故郷フィゲラスの空と海をイメージした、夏らしいさわやかなドリンクです。

バジルチキンフォカッチャは小腹を満たすのにちょうどいいサイズ。チキンとバジル風味のホワイトソースがサンドされています。

レモンピール入りのソルベのとラズベリーがトッピングされ、カップのふちにちょこっとお塩が添えられています。

また、クランベリーとレモンを合わせた「ミューズガラの愛ソーダ」もラインナップ。こちらはダリの愛妻ガラをイメージした、ベリー系のさっぱりしたドリンクだそう。黄色と赤の色合いが、確かにガラらしい印象。

諸橋近代美術館へは、JR猪苗代駅から路線バスで

新幹線で郡山駅に着いたら磐越西線に乗り換え、街から田畑、山間部へと進んでいきます。その道中は、いかにも旅行という風でウキウキするもの。

さっきまで山だった緑がだんだんと個々の木になっていく様を、いつ? どのタイミングであの山が木になるの?! と思ったり、少し離れた山を眺めては、もりもりでブロッコリーみたいだな……と思ったりしていると、45分ほどでに猪苗代駅に到着。

猪苗代駅からは、駅舎右手のバス停から会津バス磐梯高原線で25分ほど。こちらのバスは現金決済(780円)のみ。発車前に両替もできますが、小銭を用意しておくと安心です。

素晴らしき景色がお出迎え!

鑑賞後に出てきたら青空! 似合う!

バスを降りると空気がうまい!! さすが山!! ありがとう磐梯山!!

そして素晴らしい景色! 晴れた日は木々の緑と空の青のコントラストが美しく、その場で胸を開いて深呼吸ですよ。公道だけど。

お出迎えからのご案内。ありがとう、可愛い。

企画展はもちろん、常設の彫刻もたっぷりと楽しめます。

素晴らしい景色と空気の中で楽しむ、シュルレアリスムの世界。ゆったりとその世界に没入してみてはいかがでしょうか。

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蓮水おり(ori hasumi)

美味しいものと美術展とライブをテンション高めに楽しむワーママでバンギャ。コーヒー歴15年超の、J.C.Q.A.認定コーヒーインストラクター2級。12星座をモチーフにしたオリジナルブレンドのコーヒー屋を営んでいます。

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