未来に意識を向けて行動を促す会話術「フィードフォワード」。ただ、お子さんがまだ小さい場合は、意識的にフィードフォワードを使って会話をするのは難しいですよね。
そこで今回は、特に親子関係においてフィードフォワードの”未来思考” が自然と身に付く絵本をご紹介します。
ちょっぴり意地っ張りなねずみの、かわいい絵本

明るい黄色の表紙には、ちょっと内気な表情の、かわいいねずみさん。タイトルの下には「がんばっているのに、うまくいかないきみへ」。ちょっぴり頑固でときどき素直になれない息子を持つ身としては、気になるフレーズです。
早速ページを開いてみると...

あらすじをご紹介
主人公は工場跡に暮らすねずみのミック。工場にある部品を使っていろいろなものを発明するのが得意です。でも他のみんなより小さくて、弱くて、しっぽも短いことが気になって、なかなか友達の輪に入れません。
「だれよりも おおきくなって つよくなって かっこよくなって、みんなから すごいねって いわれるようになったら みんなのこと さそえるのに......」
そう考えたミックは、小さな体格や短いしっぽを隠すかのようにたくさんの部品を体にくっつけて、やがてガチガチの鎧をまとったような姿に。「これでかっこいい自分になれた」と喜んだのも束の間、重くて身動きがとれなくなってしまいます。
そんなミックをそっと見守る存在がいます。それは、お空の太陽。太陽は、決してミックの言うことを否定しません。ミックがどんなことを言っても、何をしても「そうか、そう おもうんだね」「そうなんだ。 そうなんだね」と、ひたすらあいづちを打つのです。太陽と話をするうちに、少しずつ自分の気持ちを口に出し始めるミック。
すると最後に、太陽が尋ねます。
「ほんとうは、どうしたいの?」
「ミックは、どうなりたいの?」

その問いかけに、ミックの出した答えは.......。
子供と一緒に読んでみた
早速、小学校2年生の次男と読んでみました。
筆者は、太陽の台詞に終始ハッとさせられることの連続でした。
「そうか、そう思うんだね」と否定も肯定もしない返事は、せわしない日常の中では、どこか物足りなくすら思えます。しかしその「余白」をカットして、先回りして色々言ってしまう親の行動こそが、子ども本人が「ほんとうは、どうしたいんだろう?」と自分に問いかける猶予を奪っているのかもしれません。
一方、次男の感想は、照れくさいのかボソッと「まあ、(ミックの)気持ち分かるよ」と一言。
そっかぁ...きっと小さいなりに学校でお友達といろいろあったり、頑張りたいけどどう頑張ったらいいか分からなくて空回りしちゃったりすることも、あるんだろうな。短いひと言から一生懸命に生きている息子の本音が伝わった気がして、ぎゅーっと抱きしめたくなりました。
「どうしたいの?」の問いかけを、親子の習慣に
こんなふうに、絵本という形でなら親も子も自然と「ほんとうはどうしたいの?」「どうなりたいの?」と考える習慣ができそうです。
そっと子どもの目につくところに置いておいて、これからも折に触れ手にとってもらいたいなと思える絵本でした。
『ほんとうは、どうしたいの? ミックをかえた たいようのことば』
定価 1600円+税
文 由美村 嬉々
絵 すみもと ななみ
監修 久野 和禎
出版社 講談社
発売日 2024/8/1
言語 日本語
単行本 34ページ
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『ほんとうは、どうしたいの? ミックをかえた たいようのことば』は、以下で購入可能です。
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