本記事には、撮影不可の展示室画像が含まれます。取材に際し、特別に許可を得て撮影しています。
あなたの佐藤雅彦はどこから? わたしはピタゴラスイッチから! なんて思っていたら、とんでもないことですよ。驚くべき生活への浸透度。
進んでいくごとに「あぁこれも知ってる!」にあふれている『佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)』。
今回は、実際に鑑賞して特に気になったポイントや、いくらでも見ていたくなってしまう作品をご紹介します。
「蒐集→抽出→適用」のルール

好きなものを集めて、見つけた共通点をルールとして適用し、作品を作る。このシンプルさ。“作る”という工程に芯がとおった感じがありますね。
「蒐集→抽出→適用」を順に見たとき、完成形だけでは得られなかった、天啓を得たような、たまらない気持ちよさがありました。脳汁が出るってこういうこと? ちがう?
このルールが適用された作品を見ながらこの展示にたどり着くわけですが、さすがにもう1周したくなります。
知ったうえで見てわかるというのは、こんなにも知的欲求を満たすものなのか! という発見もありつつ。
これ、ほんとうに気持ちがいいので、ぜひ体感してほしいですね。
これもなの?!CMでお馴染みのフレーズ

あまりの「これ知ってる……!!」の多さに驚いたのが、企業広告。見覚えのあるポスター、聞き覚えのあるフレーズがこれでもかというほど展示されています。
ここ40年くらいの間に日本で暮らしていたら、半分くらいは絶対知ってるよね! という印象。すごい……。
湖池屋の「スコーン」「ポリンキー」「ドンタコス」などは、アラフォー世代には馴染み深いですよね。
子どもの頃にどれだけ聞いたことか! というリズムとフレーズ。その背景にある独創的な作り方や、映像へのこだわりが動画で解説されています。
ファン必見!「ピタゴラ装置」の実物はテンション上がるぅ!!!

特別展示として、ピタゴラ装置の実物がなんと4台も展示されています! 「ピタゴラスイッチ」ファン垂涎の、ピタゴラ装置の実物ですよ! 大歓喜!!
しかも、この4台を動かす映像が順に壁に大きく投影されるので、実物を見ながら動いている様子も見られるという。もう、映画の1本分くらいもお支払いしたくなるような内容。
映像では見えない部分も、ぐるりと観察することができるだなんて!
ピタゴラ装置を作っているのは人間だとわかっていても、どこか魔法みたいな動きで不思議なんですよね。その実物をじっくり見ることで「これが落ちて、ここに作用して、これが転がるのか」なんてことが確認できます。
そして、再度映像を見たときにその不思議さがどうなるのかというと、しっかり健在。仕組みがわかってもなお損なわれることのない、美しい不思議さがそこにあるのです。魅力的ですね、ピタゴラ装置。

壁際には、佐藤氏がこれまで集めてきた小物たちがずらりと展示されています。この箱もあの缶も見たことある! あれはあるかな?! という、また違ったワクワクも楽しめます。
ピタゴラスイッチを愛せし者必見の、あの歌のセットも!

「つながりうた もりのおく」や「ぼてじん」なんかは、ピタゴラスイッチ好きなら一度は口ずさんだことがあるでしょう。そのセットが! ある!!
くまのかあさんはこのおうちで3時のおやつを作っていたのね! とか、この小道で2匹のヘビに出くわしてびっくりするのね! とか。
ぼてじんは、こう転がすとここが出るけど、このマスでこの面を出すにはどう転がすんだ? とか、画面越しでは想像もしなかったことが頭の中をどんどんめぐっていきます。
番組内ではすっかりその中にいるように感じられる世界を俯瞰できるだなんて! そんなことがあっていいのかしら?!
見る角度を変えることで、どんどん新しいものが見えてくるので、ずっとワクワクできます。ファンはぜひ実物を! 見てください!
遊びのようで学問な書籍もたくさん

壁一面に展示されているのは、大人も子どもも興味を持てて、学びの入り口になるような書籍たち。
Eテレ関連のDVDブックなどをはじめ、そのキャラクターの本もあったの?! というものや、科学、数理、哲学など幅広いジャンルで展開されています。
個人的には「ピタゴラスイッチ」や「コんガらガっち」のイメージが強く、ピタゴラ装置DVDブックは全巻購入するほど好きなのですが、きっとそれはきっかけや入り口なのでしょうね。
興味をより深めていく階段を見たような気持ちになりました。
まだまだ紹介したい作品や展示はたくさんありますが、現地で実物を見る感動というものがありますからね。今回はこのくらいで。
展示をたっぷり堪能したあとは、そのままミュージアムショップへGOです。次回vol.3では、目移りしてしまうラインナップのグッズたちをご紹介します。
横浜美術館リニューアルオープン記念展
『佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)』
⚫︎会期
2025年6月28日(土)〜11月3日(月・祝)
⚫︎会場
横浜美術館
神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
⚫︎開館時間
10:00~18:00(入館は17:30まで)
⚫︎休館日
毎週木曜日
⚫︎入場料
一般2,000(1,900)円
大学生1,600(1,500)円
中学・高校生1,000(900)円
小学生以下無料
※お客様の鑑賞環境の確保のため7月12日(土)より日時指定券を導入しています。
既にチケットをお持ちの方(オンラインチケット購入済の方、各種招待券、招待状お持ちの方等)、これからチケットを購入される方、
無料入館対象の方(小学生以下の方、障がい者手帳をお持ちの方と介護の方等)もご入場には日時指定券が必要です。
詳細はこちらをご覧ください。
※観覧券(日時指定券)はオンラインにて発売中です。
※( )内は有料20名以上の団体料金[要事前予約(TEL:045-221-0300)、詳細はこちら]
※障がい者手帳をお持ちの方と介護の方(1名)は無料(ミライロID可)
※同時開催のコレクション展も、「佐藤雅彦展」チケットで観覧当日に限り入場できます。
『佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)』公式サイト