ゴッホの名作といえば、「ひまわり」や「星月夜」、「花咲くアーモンドの木の枝」などを想像する方が多いでしょう。「大ゴッホ展 夜のカフェテラス」は、それらの作品が生まれる前の、オランダ時代の作品を中心に展開しています。
今回は、実際に鑑賞して特に気になった作品をご紹介します。
生活と仕事と世界を見る

生活者と職人、そして外の風景が描かれている「大工の仕事場と洗濯場」。この作品は、ゴッホが自宅の裏手を窓から眺めた光景が描かれたものです。
まずあるのが生活。その先に仕事。人々が誠実に営むことで運営される小さな世界が、そのさらに向こうに広がる世界を構成し、そして動かしていることを感じられます。
ゴッホが描きたかった“誠実なもの”が、つぶさに映し出されているように感じます。
実物のような質感の静物画

やけに心惹かれたのが「燻製ニシン」。画面の色は重く暗く、食材を描くのにこの背景色はなぜ? というのがまずひとつ。切り取られた日常のひとコマに“あった”風景なのだろうと推察します。
さらに、シンプルに、絵の具の凹凸で表現された質感があまりにもリアルで、しかもおいしそう。身の厚さや脂のありそうなツヤから、香りまで感じられるような気がします。
この作品が日本で描かれるとすると何になるのでしょうね。干し柿とかでしょうか。
新印象派の手法を鮮やかに

やわらかな色合いで描かれた「レストランの室内」。新印象派を象徴する手法ともいえる点描と捕色を駆使し、陰影や奥行き、床や壁紙のグラデーションを生み出しています。
ブルジョワジー向きのレストランを描いており、鮮やかながら穏やかで品のある空気を感じる、個人的にずっと好きな作品です。
筆触を間近で見て色を単体で認識したあとに、視線をグッと引いてみると「あの点がなんでこうなるんだろう?」という不思議さを味わえます。
自画像に見る筆触の変遷

ゴッホは自画像も多く残しています。人物画を描きたかったというゴッホ。しかしパリではモデル代がかさむことから、やむなく自身を描いていたそう。
ゴッホの残した自画像25点の中から、今回展示されているのは、ゴッホの作風の変遷が見られる1点。
代表的な作品である「星月夜」へもつながる筆触の片鱗も感じられ、思わず画面に顔を近づけたくなります。質感や光の当たり方など、細かな部分にも注目したい作品です。
手紙で語られる思い

展示室のところどころに掲出されている、ゴッホからの手紙。中でもテオに宛てた言葉は、作品にも色濃く表れているように感じます。
さまざまな思いや志を抱いていたゴッホの作品を、違った角度から照らしています。
会期は2026年8月12日まで。日時指定予約が安心

『大ゴッホ展 夜のカフェテラス』は、2026年8月12日まで、上野の森美術館にて開催中。
初日の混雑ぶりが話題になりましたが、6月いっぱいは日時指定予約優先制のため、予定を立てて行かれる方には予約をおすすめします。7月以降は完全日時指定予約制となっているので、予約必須。チケットの購入と同時に予約まで完了させてしまうと安心です。
また、公式サイトではジュニアガイドも配布中。小中学生向けということもあり、内容もわかりやすく、大人の予習にもピッタリ。ふらりと行っても楽しめますが、予備知識があると見どころもわかり、より楽しめそうです。
「自画像」や「夜のカフェテラス(フォルム広場)」に注目するのはもちろんですが、他にも素敵な作品がたくさん展示されています。ゴッホの隠れた一面や、自分だけのお気に入りを探しに。大ゴッホ展に足を運んでみてはいかがでしょうか。
『大ゴッホ展 夜のカフェテラス』
⚫︎会場
上野の森美術館
⚫︎会期
2026年5月29日(金)〜2026年8月12日(水)
※会期中無休
⚫︎開館時間
日~木曜日 9:00~17:30
金・土・祝日 9:00~19:00
※入館は閉館の30分前まで
⚫︎観覧料(※通常チケット)
・平日(月〜金)
一般 2,800円
大学・専門学生・高校生 1,600円
中学生・小学生 1,000円
・土日祝
一般 3,000円
大学・専門学生・高校生 1,800円
中学生・小学生 1,200円
※2026年6月30日まで、高校生以下無料
『大ゴッホ展 夜のカフェテラス』公式サイト
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