喫茶店やカフェにひっそりとあるアルコールメニュー。ゆったりとした時間を楽しんだり、スイーツと合わせていただくのも乙なものです。今回は、西荻窪に何気なく佇むカフェ「驢馬とオレンジ」の、あまりにも美味しいラムチャイをご紹介します。
共感を求めないセンスに溢れた洗練された空間のカフェ
驢馬とオレンジの入り口は、籐製のロッキングホースとストーブ型のランプ、シンプルな看板が出ているのみ。ガラスの引き戸から伺える店内はあたたかげな色で、外観の無機質さとのコントラストが鮮やか。中に入ってみると、こだわりを見せつつも共感を求めるわけではない、あたたかだけどきちんと線を引くような雰囲気で、店主さんの作り出した世界に引き込まれるよう。一般的なおしゃれカフェとは一線を画す、洗練されたバランスです。
メニュー構成は、1杯ずつネルドリップで抽出するコーヒーが主役。他に紅茶やソフトドリンク、アルコール、自家製ケーキなどもラインナップ。おひとりで切り盛りされているため抽出中は接客ができなくなりますが、手の空いたタイミングならメニューについての質問にも丁寧に答えてくださいます。
丁寧な手仕事で淹れられたチャイにラム酒で華やぎをプラス
素晴らしい香りを楽しめるラムチャイは810円。店主さん曰く「結構いいラムを使ってる」とのこと。アイスとホットの提供があり、今回はアイスのラムチャイをお願いしました。
驢馬とオレンジのチャイは、ホールのカルダモンとクローブにきび砂糖を合わせて1杯ずつ丁寧に煮出します。マイルドで上品な香りと優しい甘さのチャイに、華やかなラム酒で豊かな香りを足すことで、ゆったりと溶けるキャラメルのような風味を感じられます。けれど、明確にキャラメルかといえばそうとも言い切れず、ずっと不思議な気持ちのまま新鮮に美味しさを感じながら1杯を飲み終えました。
ひとくちごとに、何の味だろうか、何がこんなにいい香りなのだろうかと考えるものの答えは出ず、どんどんラムチャイの魅力に引き込まれてしまいます。
コーヒーだって当然のように美味しい
丁寧に作られているのは、コーヒーだって同じ。数種類の定番やおすすめからお豆を選べます。今回はエルサルバドルのお豆をアイスコーヒーでいただきました。こちらは760円。
こちらも香りの立ち方が、アイスコーヒーでは考えられないほど豊か。さらに、口内にまるでカラメルのような甘い香りとほろ苦さの余韻を長く残しすっと引いていく素晴らしい美味しさ。
店内はおしゃべりをするもよし、本を読むもよし、手仕事をするもよしという雰囲気で、訪れる人がそれぞれ思い思いの時間を過ごされているのが印象的でした。店主さんのセンスをたっぷりと感じながら、ゆったりと自分の時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。