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【1700円】故郷ナンシーと憧れのパリ『没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ』〜光の妙で楽しむガレの世界への入り口

六本木・サントリー美術館にて開催中の『没後120年 エミール・ガレ 憧憬のパリ』。メインビジュアルのランプ「ひとよ茸」が印象的ですが、その他の展示されている作品にも実にさまざまな表情があり魅力的です。

フランス北東部ロレーヌ地方の古都ナンシーで父親の家業を継ぎ、独自の世界観を展開したエミール・ガレ。パリ万博でその名を知らしめ、世界で輝かしい成功を収めたガレの作品を、ガラス、陶器、家具とたっぷりと堪能できます。

展示総数は100件超。世界で活躍したナンシーの名士、エミール・ガレの世界から、気になった作品をご紹介します。

光の加減で変化する見え方。実物を見るべし。

鉢「コロシント」エミール・ガレ(1884年−89年頃)/個人蔵

ガラス作品が多く展示されているガレ展。光の加減で見え方変わるため、実物見るのが圧倒的に楽しい!

上から下から真横から斜めから。ぐるりと見られる作品は、360度すべての角度からあますところなく眺め尽くしてください。きっとお気に入りのポイントが見つかるはず。

ポスターやウェブで見る画像に反射などはなく、作品が美しく見えるように仕上がっています。でもやっぱり、作品が輝く展示をされているので、実物に触れてこそ動く心もあるように感じました。

パリ万博への3度の出展。輝かしい成功と、故郷への想い

エミール・ガレを語るに外せないのは「パリ万博」。1867年に父親の出展を手伝って初めて参加し、半年ほどパリに滞在。その後、さまざまな経験を積み、1877年に家業を継承します。

翌1878年に、初めて自身が主体としてパリ万博に参加。出展した作品はガラス部門で高く評価され、快調なすべり出しで華々しいデビューを飾ります。パリの富裕層を顧客に持ったり、社交界との関係が構築されたのも、1889年の万博をきっかけとしています。

ガレは世界的に高く評価される一方で、愛する故郷ナンシーの文化促進もしたいと考えていたといいます。「地方都市に恩恵をもたらさぬ万博の意義は何たるか」を問うたその地方都市の中に、故郷であるナンシーがあったことで、フランスを代表する芸術家として、また、故郷を愛する文化人として、想像を超える精神的重圧と戦っていたのではないかとも推察されています。

ガレの原点がここに。1867年パリ万博

ガレが初めてパリ万博を経験したのは1867年。1864年から、家業の中でも陶器のデザインを手伝うようになっていたガレは、父シャルルの手伝いで半年ほどパリに滞在しました。

ここでは、まだ父シャルルが経営を担っていた頃に作られた作品をご紹介します。

「コンポート」エミール・ガレ(1867年頃)/ポーラ美術館蔵

光を受けた影までも美しい「コンポート」は、淡い褐色の透明ガラスの波打った形がお花のよう。

エナメル彩で絵付けがされているのですが、器部分は両面から描かれており表裏併せて唐草文の模様が成立するもの。ガラスの特性を生かした作品です。

ちなみにコンポートとは、脚付の平皿の一種。静物画などで果物が乗っているのを見たことがありますね。

(手前)ゴブレット「ジャック・カロの人物画」(1867−76年)、(奥)スープ入れ「ナンシーの紋章」(1864−70年)/いずれもエミール・ガレ、サントリー美術館蔵(菊地コレクション)。斜め後ろから撮影。

どちらの作品も、曲線がたまらないですよね。ふくよかだったりスッとくびれていたり。ガラスのゴブレットのピンとした印象も、陶器のスープ入れのふっくらとした印象も、それぞれに美しい……。

ゴブレットの正面に描かれるのは、ガレと同郷の銅版画家であるジャック・カロの作品に取材したもの。深い敬意の表れか、ガレはカロの描いた銅版画のモチーフを自身のガラスや陶器に多用しています。

スープ入れの蓋の長軸方向の左右とボウルの両長側面には、ナンシー市の紋章が配されています。ガレの“地元愛”ですね。

会場のサントリー美術館は東京ミッドタウン内

2025年2月15日から開催中の『没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ』。会期は2025年4月13日まで。(作品保護のため、会期中に展示替えを行います。)

会場であるサントリー美術館は、地下鉄大江戸線六本木駅8番出口直結。東京ミッドタウン ガレリアの3階にあります。方向音痴を極めるプロ迷子の筆者でも、迷わずにたどり着けました。

21歳で初めての万博を経験。その後3度のパリ万博出展を重ね、世界的に評価されたガレ。58歳の若さで人生の幕を閉じますが、最晩年にも作品から離れることはありませんでした。

そんなガレの没後120年に開催されている本展。引き続き、パリ万博をベースにガレ作品の魅力をお伝えしていきます。

『没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ』

⚫︎会場
 サントリー美術館
 東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階

⚫︎開館時間
 10:00~18:00(金曜日は10:00~20:00)
 ※3月19日(水)、4月12日(土)は20時まで開館
 ※いずれも入館は閉館の30分前まで
 火曜休館(4月8日は18時まで開館)

⚫︎アクセス
 都営地下鉄大江戸線六本木駅 出口8より直結
 東京メトロ日比谷線六本木駅 地下通路にて直結
 東京メトロ千代田線乃木坂駅出口3より 徒歩約3分
 都営バス(渋谷発)都01「六本木駅前」下車 徒歩約2分
 ちぃばす(赤坂ルート)「六本木七丁目」、「檜町公園」下車 徒歩約1分
 詳しくはこちら

⚫︎関連イベント
 「エデュケーターによる鑑賞ガイド」
 開催日:隔週土曜日(3/22、4/5)
 開催時間:11:00~、14:00~(各回 約20分)
 定員:各回95名 当日先着順(満席になり次第受付終了)
 会場:サントリー美術館 6階ホール

サントリー美術館公式サイト

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蓮水おり(ori hasumi)

美味しいものと美術展とライブをテンション高めに楽しむワーママでバンギャ。コーヒー歴15年超の、J.C.Q.A.認定コーヒーインストラクター2級。12星座をモチーフにしたオリジナルブレンドのコーヒー屋を営んでいます。

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