印象派の画家として必ずといっていいほど名前が挙がるのがセザンヌ、ルノワール、マネ、ピサロ、モネ。中でもモネは、印象派を牽引した画家としても大変有名ですね。
さまざまな土地で連作を多く描いてきたモネ。季節や時間、天気などで表情が変わる風景などを描いた70点近い作品に、どっぷり浸かれる贅沢なモネ展をご紹介します。
入り口に睡蓮の池? 入ってから出るまで首尾一貫のモネの世界
まずとてもワクワクしたのが、館内に進むにあたっての初めの展示。現代の美術展だからこそできる仕掛けで、ここですぐにでもお伝えしたい。でも初手のネタバレになってしまう……という葛藤を抱えつつ、まずは入り口の「睡蓮の池」を楽しんで! とだけ。
先に進むと、順々にモネの世界が展開されていきます。連作の中から、特に注目すべき作品や対比が見える作品などが展示されており、ちょっとしたアハ体験を得た感覚になるパートも。同じ場所の違う季節、違う時間、違う天気など、こんなにたくさんの同じ場所を描いた画家が他にいるのだろうかと思わされるほどに、たくさんの連作を楽しめます。
また、そこかしこに「あっこれ見たことある!」という作品があるのも楽しみポイントのひとつ。教科書や他の展覧会でというのはもちろん、駅や街、お店で見かけていた「何のだかわからないけどあのポスターこれか!」なんてパターンも。
「光の画家」が追求した、光と色彩の変化
空から注ぐ光を受けた風景、強い光に照らされてできた影、光を受けた雪が反射した光を映す空。目を、脳を、手を通すことで、モネの見たものをやわらかに、繊細に、見る者の感じ取る余白を残すように描かれているように感じます。
刻々と変わりゆく景色を、さまざまなタイミングで切り取っては描き出してきたモネ。実情を写真で見たら、景色は全く違っているのかもしれません。しかし、自身の中にある理想や、感覚を通過したことで生まれたモネなりの真実を表現したのだとしたら、なんと美しい世界に生きていたのでしょう。
個人的には「チャリング・クロス橋、テムズ川」という作品がとても印象的でした。空や水面と建造物の境界は曖昧で、無機物の存在は光と影を描くための添え物のよう。穏やかに描き込まれた橋から落ちる影や、水面に映る光の美しさは、まるで淡く発光しているかのような印象を受けました。ぜひ実物の美しさに触れてほしい作品です。
ミュージアムショップも大行列
京成線側の入り口から上野公園に入り、上野の森美術館が見え始めると館の前に行列があり「ショップご入場まで25分」の札を持った係員さんの姿が。まさかのミュージアムショップの別入場に、モネの人気ぶりがうかがえます。
今回のモネ展は、オリジナルグッズだけでなくコラボグッズも大充実。アパレルや雑貨、食品などジャンルが多岐に渡ることはもちろん、アパレルブランドや和菓子店、香老舗に文具メーカー。さらには「PEANUTS meet MONET」と冠したスヌーピーコラボまで。
また、公式図録には、今回展示されるすべての作品が収録されています。東京展、大阪展どちらかでしか展示されない作品も網羅しているので、モネ展をより深く見ることができます。
みんな大好きモネ先生の作品の一部または概念を持ち帰ることができるとあって、売り切れ・入荷未定のタイミングもありますが、日によってはもしかしたら再入荷のタイミングに出会えるのかな、と推察しています。
筆者が行った日は、ロルバーンコラボのノートは完売していたし、スヌーピーグッズのコーナーは半分くらい売り切れていました。
再入荷については、後日X(元Twitter)でお知らせのポストがあったので、気になるグッズがある方は公式アカウントをチェックしておくといいでしょう。
東京展は1月28日まで。2月10日から大阪へ巡回!
睡蓮や積みわらなどの明確なモチーフが存在するというのはもちろんのこと、光と影、色彩などの表現も豊か。切り口次第でどんな解釈も楽しめる『モネ 連作の情景』。現在は東京・上野の森美術館で開催されており、平日もなかなかの賑わい。
東京での会期は1月28日で終了ですが、2月10日から大阪・中之島美術館への巡回が決まっています。
70点近くの作品が一挙に見られる注目のモネ展。正直「3000円か〜ちょっと高いかなぁ」と思っていましたが全くそんなことはなく、逆に見逃していたら後悔したような気さえしています。
印象派が好きな方はもちろん、ポスト印象派、フォービズムなどの近代美術が好きな方も、新たな視点を得るきっかけになるかもしれません。