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【1700円】故郷ナンシーと憧れのパリ『没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ』〜輝かしい成功をおさめた1889年パリ万博とパリ・サロンとの交流

パリ万博という世界の大舞台へ快調なすべり出しを果たしたガレ。1889年パリ万博にも出展し、ここで輝かしい成功をおさめます。

国立(国民)美術協会に所属したり、国立美術協会展に出品する機会を得るなど、世界へ羽ばたくきっかけとなった作品をご紹介します。

1889年パリ万博で世界に大きく羽ばたく

花器「女神」エミール・ガレ(1889年)/個人蔵

弓を引く女神像が印象的な花器「女神」。青の見え方が角度によって変わるのが面白くて、さまざまな角度から行きつ戻りつして眺めたくなる作品です。

左右に膨らむ半球状の部分、上の画像だと本体の色に近く、少し緑がかって見えるかと思います。

角度を変えて見ると、青い! 本体の色とは違う、明らかな青。こういう作品がたくさんあるんですよ。だから実物を見てほしいんです。

モスクランプ風花器「蝙蝠・唐草」エミール・ガレ(1889年)/サントリー美術館蔵(菊地コレクション)

こちらもまた違った青が印象的な、モスクランプ風花器「蝙蝠・唐草」。イスラームのモスクで使用されるランプの形態や装飾をモデルにしているそう。

薄い褐色のガラスにエナメル彩の青や金彩が施され、影までも美しい。

この表面の金属のような唐草文は、フッ化水素酸でガラスを溶かして付けられたもの。エッチングという技法で、表面のつや消しなどにも使われるそう。

化学変化でガラスが金属のように見えるようになるの、なんとも不思議ですよね。

黒色ガラスの表す悲しみや仄暗さ、生と死

花器「ジャンヌ・ダルク」エミール・ガレ(1889年)/大一美術館蔵

本作は、この年のパリ万博でガレが発表した、黒色ガラスを用いたもの。ガラス素地に被せガラスを施し、そこに模様を彫り描いています。

フランスの愛国心の象徴であるジャンヌ・ダルクは、普仏戦争を経験したガレにとっても愛国心の象徴だったよう。戦争の悲しみや、そこにある生と死を表すのが「黒」だったのでしょうかね。

胴体中央に白く浮かび上がるジャンヌ・ダルクは、ガラスの特性である屈折と反射を活かせるよう、2種類の異なる彫り方が併用されています。

この作品も角度によって見え方が変わるので、お気に入りのポジションを探す楽しみがあります。

花器「好かれる心配」エミール・ガレ(1889年)/大一美術館蔵

これも青の美しい作品。この万博の出品解説書でこの青緑色ガラスを「アンティーク・グリーン」と呼び、クロムによる発色だと記しているそう。

そして描かれたカエルの顔があまりにも好み。スッとした細面に、トンボを見つめる目の輝き。この後の進展を、つい見ていたくなる雰囲気があります。

研究された技法による見え方さまざま

花器「巻貝」エミール・ガレ(1889年−1900年)/サントリー美術館蔵

これも実物を見てほしい作品の上位に食い込みますね。模様のひび割れとその色合いが素晴らしくて。画像では全然伝わらないのですが、実物は本当に美しいので、見に行ってほしい……!

画像でも緑がかった箇所が見て取れるかと思うのですが、黄色い斑紋なども散在していてもっともっと美しいのですよ。黒く見える部分も赤紫色だったりして。

光の当たり方でハッとするような輝きを見せてくれる、大きなトキメキのある作品です。

栓付瓶「ヴェロニカ」エミール・ガレ(1892年)/サントリー美術館蔵(菊地コレクション)

見てこの胴体下部、萼(がく)を表したと思しき繊細な模様と碧。とても好き。白色の不透明ガラスでしょうか。優しいやわらかい雰囲気で、やはり光の当たっている姿が美しいですね。

公式サイトからコレクションデータベースを閲覧できますが、だいぶ印象が違うように感じられます。

パリ社交界との交流と、生まれた社会的責任

万博で輝かしい名声を手にしたガレ。その交流は社交界に広がり、芸術文化や社会に影響のある面々との交流が広がります。その流れで、想像以上の社会的責任も手にしてしまいます。

ここでは、パリの社交界との繋がりを示す作品をご紹介します。

壺「ペリカンとドラゴン」エミール・ガレ(1889年頃)/サントリー美術館蔵

自愛、犠牲、献身が転じて善なる教会を表すペリカンと、不遜、不敬、悪を象徴するドラゴンの姿を、白と黒で対比的に彫り出した本作。

キリスト教図像学の考え方で、善と悪の闘いが表現されているそう。これを友人の結婚祝いに贈るというのは、どんな想いが込められていたのでしょうか。

栓付瓶「蝙蝠・芥子」エミール・ガレ(1892年)/サントリー美術館蔵

ロベール・ド・モンテスキウ=フザンサック伯爵の詩集が刊行されたことを記念して制作された作品。頸部分に、この詩集から取った一部が刻まれています。

夜や闇を象徴する蝙蝠と、眠りを助ける芥子の花が退廃的な夜の闇を想起させます。褐色ガラスを被せて彫り出しているのもまたいいですよね。白と褐色の光の通し方が面白くて、ずっと見ていられます。

大ボリュームのガレ展。会期は2025年4月13日まで。

2025年2月15日から開催中の『没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ』。会期は2025年4月13日まで。会期中、作品保護のために展示替えも予定されています。

会場であるサントリー美術館は、地下鉄大江戸線六本木駅8番出口直結。東京ミッドタウン ガレリアの3階にあり、お出かけの途中に思い立っても寄れてしまいます。街中のふらりと寄れる美術館っていいですよね。

さて次回は、フランス史上もっとも華やかな国際舞台となった1900年パリ万博に出展した作品を中心にご紹介していきます。

ガレ最後の万博となった1900年パリ万博。どんな思いで望んだのでしょうか。もう少しお付き合いください。

『没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ』

⚫︎会場
 サントリー美術館
 東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階

⚫︎開館時間
 10:00~18:00(金曜日は10:00~20:00)
 ※3月19日(水)、4月12日(土)は20時まで開館
 ※いずれも入館は閉館の30分前まで
 火曜休館(4月8日は18時まで開館)

⚫︎アクセス
 都営地下鉄大江戸線六本木駅 出口8より直結
 東京メトロ日比谷線六本木駅 地下通路にて直結
 東京メトロ千代田線乃木坂駅出口3より 徒歩約3分
 都営バス(渋谷発)都01「六本木駅前」下車 徒歩約2分
 ちぃばす(赤坂ルート)「六本木七丁目」、「檜町公園」下車 徒歩約1分
 詳しくはこちら

⚫︎関連イベント
 「エデュケーターによる鑑賞ガイド」
 開催日:隔週土曜日(3/22、4/5)
 開催時間:11:00~、14:00~(各回 約20分)
 定員:各回95名 当日先着順(満席になり次第受付終了)
 会場:サントリー美術館 6階ホール

サントリー美術館公式サイト

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