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【1700円】故郷ナンシーと憧れのパリ『没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ』〜本格的国際デビューの1878年パリ万博

前回は、父シャルルの手伝いでパリ万博を経験した際の作品をご紹介しました。ここからは、ガレが主体となってパリ万博に出展した作品をご紹介していきます。

どれを取っても実物を見たほうがいいのは明らか。ご紹介しているのは筆者好みの作品ですが、琴線に触れるものがあればぜひサントリー美術館へ足を運んでください!

1878年パリ万博で国際デビュー!世界の大舞台へ

1877年に家業を継ぎ「エミール・ガレ商会」として正式に事業主となったガレ。初めて自らが指揮を取って出展した1878年のパリ万博では、第19クラス(クリスタルガラス、ガラス、ステンドグラス)で銅賞を受賞します。

フランスのバカラを始めとする大手メーカーや個人工房から出展されたガラス作品は、240点余りに上ったそう。錚々たる出展者に並んでの初指揮での受賞ですから、世界の大舞台で順調も順調なすべり出しと言えるでしょう。

西洋美術の伝統に基づく作品

脚付杯「四季」エミール・ガレ(1878年)/パリ装飾美術館蔵 Paris, musée des Arts décoratifs

四季それぞれの植物をモチーフに取り入れているのかなと思っていたら、なんと縁に星座の名称が! さらに、中心の絵柄から伸びる十字の模様は春夏秋冬の区切りにあたり、四季に分けられています。

四季それぞれの枠の中には、春夏秋冬を表す人物の寓意画が。本作の主題は、四季と黄道十二宮(12星座)とのこと。占星術やギリシャ神話が好きな人は、ちょっとはしゃげる作品です。

繊細な美しさで人気を博した「月光色ガラス」とジャポニズム

栓付瓶「草花」エミール・ガレ(1867−76年頃)/国立工芸館蔵

栓付瓶「草花」は、同万博でガレが発表した「月光色ガラス」が素地。持ち手や瓶の底の、ほんのり青いのが伝わるでしょうか。

草花柄は日本趣味で、漆芸品の蒔絵のような雰囲気も感じられますね。ぷっくりした瓶本体の形が可愛いのはもちろん、栓や持ち手にもポップな可愛さがあります。

金属が生み出した斑紋

花器「海神」エミール・ガレ(1884−89年)/サントリー美術館蔵

絶妙な碧がすごく良くて。正面も美しいけれど、この角度がいちばん好きな碧でした。

この模様、ガラス素地の中に金属酸化物の粉末を閉じ込めて汚れや染みのような斑紋を表現する手法で生み出されたもの。これもガレが開発した手法だそう。もう発明家だよ、これは。

花器「海底」エミール・ガレ(1884−89年)/サントリー美術館蔵

こちらも「海神」と同様の手法で作られたもの。ガラスの表面に槌目の彫りを施した面取りのカットの帯と斑紋が、海面に向けて交差して立ちのぼっていくよう! 中央のモチーフは、海藻かウミユリか……明確にはわかっていないそうです。

個人的な現状に少し滞りを感じていたのですが、つかえていたものが潮流に巻き上げられ、なんだか気持ちが湧き立つように感じました。

高級小売店に販売権を許したモデルも

制作においては、故郷であるナンシーを拠点にしていたガレ。パリでの販売促進にも注力したいけれど、距離を考えると頻繁に行き来するのも難しい時代です。

父シャルルがしていたのと同様に、代理人や小売店での取り扱いを継続します。パリにショールームを構えつつ、高級小売店に販売を任せることも。

本展で紹介されている「エスカリエ・ド・クリスタル」も販売権を許された取引先のひとつです。

花器「人物・ふくろう(夜)」エミール・ガレ(1887年−98年)/ウッドワン美術館蔵

神秘的な表情の女性像と、知恵を表すふくろうを組み合わせたデザイン。女性像の表情と不透明ガラスから、やや含みのある印象を受けました。

モチーフとなった女性像、ふくろうに加えて、ガレが神話に関心を寄せていたことから、この女性像は闘いと技芸の神アテナだろうと推察されています。

被せガラスという技法を使って、土台の不透明なガラスに、茶色と赤のガラスを重ねているのだそう。三日月部分が凸になっているのが伝わるでしょうか。

花器「草花」エミール・ガレ(1889年−1900年)/サントリー美術館蔵(菊地コレクション)

こちらも不透明ガラスを用いた作品。翡翠のような淡い緑で乳濁したやわらかな印象の素地に、赤い草花模様の斑紋が鮮やか。

相反する印象の色が、手におさまるサイズの作品にまとまっているのが、なんだか可愛らしく面白いなと感じました。

作品の底に、エスカリエ・ド・クリスタルで販売されていたことがわかる銘が刻まれています。フォントも趣があって美しいですね。好き。

会場のサントリー美術館は東京ミッドタウン内

2025年2月15日からサントリー美術館で開催中の『没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ』。会期は2025年4月13日まで。(作品保護のため、会期中展示替えを行います。)

サントリー美術館は、ありがたいことに地下鉄大江戸線六本木駅8番出口直結。東京ミッドタウン ガレリアの3階。エレベーターにさえ乗れてしまえば、ちゃんと辿り着けます。安心。

初めての事業主としての出展で賞を受け、華々しいデビューを飾ったガレ。まだまだ作家としての人生は始まったばかりです。

次回は、ガレが輝かしい成功をおさめたと言われる1889年のパリ万博とパリ・サロンとの交流をご紹介します。

『没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ』

⚫︎会場
 サントリー美術館
 東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階

⚫︎開館時間
 10:00~18:00(金曜日は10:00~20:00)
 ※3月19日(水)、4月12日(土)は20時まで開館
 ※いずれも入館は閉館の30分前まで
 火曜休館(4月8日は18時まで開館)

⚫︎アクセス
 都営地下鉄大江戸線六本木駅 出口8より直結
 東京メトロ日比谷線六本木駅 地下通路にて直結
 東京メトロ千代田線乃木坂駅出口3より 徒歩約3分
 都営バス(渋谷発)都01「六本木駅前」下車 徒歩約2分
 ちぃばす(赤坂ルート)「六本木七丁目」、「檜町公園」下車 徒歩約1分
 詳しくはこちら

⚫︎関連イベント
 「エデュケーターによる鑑賞ガイド」
 開催日:隔週土曜日(3/22、4/5)
 開催時間:11:00~、14:00~(各回 約20分)
 定員:各回95名 当日先着順(満席になり次第受付終了)
 会場:サントリー美術館 6階ホール

サントリー美術館公式サイト

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