vol.1では「どこみる展」の概要と楽しみ方についてご紹介しました。
続く今回は、自由に楽しむのがいちばん! という気持ちを胸に鑑賞した筆者が「これ面白いな〜!」と感じた作品をご紹介していきます。
必ずしも展示順ではないので、どこにあるか探してみてください。ニヤっとできること請け合いです。
同じシーンなのにこんなに違う?!「キリストの捕縛」

まずは、ヒエロニムス・ボスの工房で制作された「キリストの捕縛」から。
どう見えたかはひとまず胸に抱いたままいてくださいね。

次に、画像左のバルトロメオ・マンフレーディの「キリスト捕縛」を見てください。
どうでしょう? 同じシーンを描いているのに、画面から受ける印象には大きな違いがありますよね。
片方しか知らなかったら、偏ったイメージを抱きかねないくらい、得られる情報が違うと思いませんか?
「物騒」と「物々しい」の違いってこういうことかな、という印象を受けました。
実物よりもより景観らしく?ヴェネツィアの都市景観画

「ヴェネツィア、サン・マルコ湾から望むモーロ岸壁」の、明るく鮮やかで鮮明に描かれた景観は、しばし足を止めて見入ってしまう美しさがあります。
しかしこれ、実は“景観画”としてかなり整えて描かれているそうで、実在の風景とはだいぶ違う点があるのだそう。
旅の思い出やお土産に、都市景観画を買うのも流行っていたそうで。旅先からポストカードで手紙を出すのと似た感覚があったのかもしれませんね。
存在と思惑も映す肖像画

色鮮やかなドレスが印象的な肖像画。ふくよかな肉感や、穏やかでゆとりを感じる艶やかな表情が魅力的です。
マリー=ガブリエル・カペの「自画像」の華やかなドレスは、単に優美さを演出するだけのためではなかったそうです。
光沢感のある素材のドレスと同色のリボンなどの洗練された装いで王侯貴族の興味を引き、パトロンを獲得する狙いもあったのだとか。ブランディングの概念はもうこの頃には確立されていたのですね。
光とまなざしの印象

19世紀の人物画には、周囲の景色や日の光が優しく描き出され、人々の関係性も見えるようなものが多くみられます。
画像左「ラ・グランハのマリア」は、作者ホアキン・ソローリャが、長女・マリアを描いた作品。木漏れ日の暖かさが伝わるようで、とても魅力的だなと感じます。
内向的で夢見がちだったとも言われるマリアですが、遠くを見つめる視線に感じられる強さは、その夢を具現化したい意思だったのかもしれません。
国立西洋美術館にて開催中。2025年6月8日まで!

東京展の会期終了間近となった『西洋絵画、どこから見るか?-ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 VS 国立西洋美術館』。
金・土曜日は20時まで開館しているので、夕方からの入室も落ち着いて見られておすすめです。
また、東京展はまもなく閉幕となりますが、2025年6月25日からは、京都市京セラ美術館にて京都展が開幕。お近くの方や京都旅行の予定がある方、美術館遠征してみよう! なんて方にもおすすめです。
さて、たっぷり鑑賞したあとは、感動を胸に抱いたままミュージアムショップへ。購入品と併せて、豊富なラインナップと立体化したグッズの可愛さもご紹介します。
『西洋絵画、どこから見るか?
-ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 VS 国立西洋美術館』
企画展公式サイト
⚫︎会期
2025年3月11日(火)〜2025年6月8日(日)
⚫︎会場
国立西洋美術館(東京・上野公園)
〒110-0007 東京都台東区上野公園7-7
⚫︎開館時間
9:30 〜 17:30(毎週金・土曜日は20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
⚫︎休館日
月曜日