取材に際し、許可を得て撮影をさせていただきました。一般の方の展示室内での撮影はできません。
vol.1では、袋ものをいくつかご紹介しました。ここからは女性・男性それぞれのお洒落装身具をご紹介していきます。
現代よりも明確に、男女の社会での働きに違いがあった江戸時代。当然、身につけるものにも相応に違いがありました。
レディースアイテムは江戸時代も彩り豊かな多ジャンル展開
鏡入れもサイズさまざま、デザインさまざまで彩り豊か。現代の化粧ポーチに照らすと、個々人の好みや入れるものの量など、用途によっていろいろだったのでしょうね。
女性ならではのお洒落装身具は多ジャンル展開!簪、化粧品関連
牡丹と扇の曲線の美しさ! 鼈甲は熱を加えると加工がしやすいのだそうですが、それにしたって繊細。
現代で鼈甲というと、メガネやブローチ、ボタンなどをイメージするかと思いますが、実はどれも江戸時代からあったのだそう。家康のメガネも鼈甲製だったとか。
シャラランとした飾りの簪は「びらびら簪」というのだそう。藤の花に燕があしらわれていて春らしい趣で素敵。
現代はものづくりの方法も多様化して、さまざまな技術を尽くして生み出されていますが、江戸時代の作品も現代の作品に遜色ない技巧と美しさです。
矢絣文ビロードの鏡入れ。ちょっとロンドンの某パンクファッションブランドのような雰囲気があって可愛いですよね。柄の出方もあるかと思いますが、とてもおしゃれ。
内側の見えないところにまでこだわりが見えるのがまた粋。素敵なテキスタイルがあったものです。
細緻な手仕事で作る御細工物たち
こちらは上流階級の女性が作ったお細工物。実用性よりも装飾性が重視されているものも多くあり、むしろ技巧を尽くすことが目的になっているようなものも多くあるそう。
シンプルに美しい縮緬を使った小箱。内側は千代紙。
ちょっと特別な飴とか入れたいな、なんて思ってしまいましたが、大切な小物なんかを入れていたのでしょうかね。それとも作ることに重きが置かれていて、大事に飾られていたのでしょうか。
江戸時代の気風がうかがえるメンズアイテム
女性用がやわらかだったり繊細だったりしたのに対し、男性用はゴリっとハードな印象のものが多く見受けられます。レザーアイテムはいつの時代もかっこいいですね。
この平面のシボの溝の黒さと深さ、ふち部分の浅くなったシボと朱のツヤの対比! 全体的に使い込まれて革にツヤが出ているのもいいですね。これだから革は!!
さらにこの根付け、狼の上顎だというんだから、どんな人が持っていたのか俄然興味が湧くというものです。
火事装束の半纏や襦袢、頭巾や股引きなど。こちらは、町火消しを担っていた鳶職の男性が着用したもの。
火事の際にはこれらを着用して水をかぶって出動したのだそう。
江戸時代の男女の服装や社会での役割の違いが、装飾品にも如実に現れているように感じました。
朱革の煙草入れなんて、現代なら女性が持っていても「ハードでかっこいいね!」という印象ですが、当時においては、装飾品であると同時に、生活や社会活動に即したものでもあったのかなと推察されます。
性別に関わらず好きなものを選べる現代は自由でいいなぁと感じますが、女性ならでは/男性ならではというのも、それぞれに役割を持った安定した生活の象徴だったのかもしれませんね。
展示品はまだまだたくさん。次回、舶来の品や高度な技術がたっぷりと込められた作品をご紹介します。
『江戸のお洒落装身具(アイテム) 袋物、髪飾り、そして江戸風俗の世界』
⚫︎会期:2024年10月26日〜12月8日
⚫︎会場:川越市立美術館
⚫︎アクセス:こちらからご確認ください
⚫︎開館時間
午前9時から午後5時まで(入場は午後4時30分まで)
⚫︎休館日
月曜日(11月4日を除く)、11月5日(火曜)
⚫︎観覧料
一般 700円(560円)
大学生・高校生 350円(280円)
中学生以下 無料
※( )内は20名以上の団体料金。
※着物で来館の場合は団体料金にて観覧可。
※身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳、障害者手帳アプリ「ミライロID」を提示の本人、及び、付き添い1名無料。
特別展最新情報ページ