取材に際し、許可を得て撮影をさせていただきました。一般の方の展示室内での撮影はできません。
さまざまな美術展で行われている「企画展関連イベント」ですが、川越市立美術館でも関連イベントが実施されています。
今回は、取材に伺った日に開催されていた「ミニ鑑賞会」にお邪魔しました。
展覧会の解像度が上がり、より深く楽しめる「ミニ鑑賞会」
「ミニ鑑賞会」は、学芸員さんの解説を聞きながら、実物を細部まで見せていただけるというイベント。
通常の展示では見ることのできない作品の内側や中身まで間近で見ることができるうえに、360度ぐるりと堪能できます。
さらに、実際に手のひらにのせて重さを感じさせていただくこともできる、なんとも贅沢な機会です。
繊細な技術と品のある誂えを間近で
午前中の回は、「籐石畳編懐中鏡入れ」という、籐製の鏡入れ。ミニお化粧セットのようなもので、懐に入れて持ち歩くものです。
身分の高い人は女中に持たせていたようで、そういったものは良い状態で現存しているそう。こちらも状態が良いことから、身分の高い人の持ち物だったのかもしれませんね。
石畳編みで編まれた籐の本体に金属の留め具がついており、3段階に調節可能。実用性もきちんと備えられていて、生活に即したものだったことがうかがえます。
本体を閉じるための板鎖と鏡につながる花鎖の、金と黒の切り替えの意匠は「昼夜」と呼ばれます。ちなみに、板鎖も瓢箪の形。花鎖の先の瓢箪も籐製で、一楽編みという技法で作られています。細やか。
内側は絹織物で裏打ちがされており、こちらも美しい。叺(かます)にかかる上蓋は、こはぜで留めるもの。足袋を留めるのと同じ仕組みです。
鏡は銅板で、裏には福寿草の模様が彫られており、金工細工師の名前も併せて彫られています。
中には鏡以外に、秋草模様の小さなお化粧セットが。小さな箱が2つと紅筆と刷毛が入っていました。
さらに、更紗に包まれた紅板と、こちらも更紗の楊枝入れと思しきものも。
この鏡入れの大きさは、学芸員さんの手と比較するとわかりやすいですが、小型の三つ折りのお財布くらいでしょうか。意外とたくさん入るものですね。
所要時間は30分ほど。会場は美術館2階のアートホール。
会場は、美術館本館1階のエントランスから2階へ上がり、エレベーターの正面、階段の右手にあるアートホール。こちらは多目的ホールで、講演会・講座・上映会など以外に、展示も可能だそう。
長机を挟んで、学芸員さんとお客様が6人くらいだったでしょうか。たっぷりと30分ほど使って、作品や時代背景などについて伺うことができました。
本展関連のイベントは全て終了していますが、他にもたくさん企画がされています。ぜひホームページをチェックしてみてください。
おまけ:知識を深めるなら図録もおすすめ
『江戸のお洒落装身具(アイテム) 袋物、髪飾り、そして江戸風俗の世界』の図録は、B5変型判でコンパクト。コンパクトなのにボリュームはたっぷり180ページ。
展示品を網羅する形で掲載されており、さらに資料のページも充実しているので、江戸のお洒落装身具あれこれについて、より詳しく知ることができます。
『江戸のお洒落装身具(アイテム) 袋物、髪飾り、そして江戸風俗の世界』
⚫︎会期:2024年10月26日〜12月8日
⚫︎会場:川越市立美術館
⚫︎アクセス:こちらからご確認ください
⚫︎開館時間
午前9時から午後5時まで(入場は午後4時30分まで)
⚫︎休館日
月曜日
⚫︎観覧料
一般 700円(560円)
大学生・高校生 350円(280円)
中学生以下 無料
※( )内は20名以上の団体料金。
※着物で来館の場合は団体料金にて観覧可。
※身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳、障害者手帳アプリ「ミライロID」を提示の本人、及び、付き添い1名無料。
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