西洋美術というと、どうしても難しく考えてしまう人も多いでしょう。自身もそうだったので、なんとなく敷居が高いように感じてしまうのも、とてもよくわかります。
今回ご紹介する『西洋絵画、どこから見るか?-ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 VS 国立西洋美術館』は、タイトルにあるとおり「どこから見るか?」がキーワード。
美術鑑賞に“絶対”はありません。“どこから見るか”、カジュアルに自由に楽しんできました。
見比べる。考える。
『西洋絵画、どこから見るか?-ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 VS 国立西洋美術館』。
見比べたり対話させたり、ツッコミどころに端から突っ込んでいったりなど、さまざまな人のさまざまな視点から楽しむことが推奨されているようなタイトルですね。

『どこみる展』の音声ガイドを担当されたのは、俳優のディーン・フジオカさん。どんなところに気をつけながら収録されましたか? という問いに「“ここから見る!”という押し付けにならないように」とおっしゃっていました。
4つの時代をさらに小分けに
同展は、ルネサンス、バロック、18世紀、19世紀と大きく4つの時代に分けて展示されています。
各時代をさらに小さく分けて、同じシーンを描いたもの、同じ作家のもの、同じモチーフを描いたものなど、それぞれの絵を比較できる構成に。
「聖母子」や「キリストの捕縛」などの宗教的なモチーフの作品はもちろん、「肖像画」「静物画」「風景画」などに加え、彫刻作品も見られます。
来日自体が大イベント

そもそも、サンディエゴ美術館からお借りしてる作品は全て、日本初公開。なかなか国外には貸し出していないとのことで、これだけの数の作品がいっぺんに見られることがまずもっての大イベントなのだそうです。
また、スペイン画家の作品も多く見られます。なぜだろうなと考えていたら、サンディエゴはかつてスペイン領でしたね。画像の静物画も、スペインの画家フアン・サンチェス・コターンの作品です。
大人はもちろん、子どもだって楽しめる

どこみる展には、子どもの鑑賞を手助けする「ジュニア・パスポート」も用意されています。表紙に鑑賞マナーの記載があり、裏表紙には名前と鑑賞日が記入できるようになっています。
中は「〇〇というのは、こういう絵のことだよ」などの解説と、どこが似ている? どこが似ていない? など比較を促す文言、気づいたことを書き込めるスペースも。
これはノってきたら、自らどんどん知的好奇心を満たしに行ってくれそう。助かる! 音声ガイドとセットで持ってくれたら助かっちゃうなぁ!
子どもを美術館に連れて行くのって、ハードルが高いケースも多いと感じています。見るペースが合わなかったり、途中で飽きてしまったり、ほぼ全ての作品に対する質問があったりすると思うんです。あったんです……。
この「ジュニアパスポート」は、小学校高学年〜中学生の鑑賞を想定して作られたもの。とはいえ、わかりやすい言葉で書かれているので、低学年以下のお子さんも保護者と一緒に楽しめます。
会期は2025年6月8日まで!国立西洋美術館にて開催中

会場は、国立西洋美術館。JR上野駅公園改札口を出てまっすぐ進むと右手に見えてきます。
だいぶ軽やかにお出かけできる気温になっているので、上野公園をお散歩がてら、立ち寄ってみるのもいいかもしれませんね。西洋絵画を“どこから見るか?”。ご自身の視点を見つけに、足を運んでみてはいかがでしょうか。
また、東京展はまもなく閉幕となりますが、2025年6月25日からは、京都市京セラ美術館にて京都展が開幕。お近くの方や京都旅行の予定がある方は、ぜひそちらへ。
次回は、展示作品のなかから気になる作品をピックアップしてご紹介します。
『西洋絵画、どこから見るか?
-ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 VS 国立西洋美術館』
企画展公式サイト
⚫︎会期
2025年3月11日(火)〜2025年6月8日(日)
⚫︎会場
国立西洋美術館(東京・上野公園)
〒110-0007 東京都台東区上野公園7-7
⚫︎開館時間
9:30 〜 17:30(毎週金・土曜日は20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
⚫︎休館日
月曜日