予算から趣味探し

【2000円】自治体の生涯学習支援で気軽に学ぶ。川越大学間連携講座『法と政治の世界から見る女性たち』参加レビュー vol.2 どんな講義が聞けるの?

前回「川越大学間連携講座」とはどのようなものかをお伝えしました。

今回は、全4回それぞれが、実際にどのような講義だったのか、ご紹介します。

講義は担当の先生の専門分野に近いテーマで

講義をご担当されるのは、尚美学園大学 総合政策学部の先生方。

各回をご担当される先生が、それぞれの研究分野に近いところをお話くださいました。

また、講義中にはクイズやディスカッションなどもあり、自身で考えたり、さまざまな視点からの意見を聴きまとめたりする時間も。ただ聴くだけではなく、考えを深める時間もあり、基礎教育との違いを感じました。

講義の際にいただいた資料を見直してみたら、かなりボリュームがあって。こんなに濃い内容を90分で、しかも飽きさせずに運ぶのすごい……という別の感心もしつつ。少しずつ内容をご紹介します。

第1回「法を動かした女性たち」

このガベル、日本では使わないんですって。

NHKの朝ドラ、ご覧になる方も多いでしょうかね。筆者は起きられずで、2018年度後期の「まんぷく」以来、ちゃんとは観られていないのですが……。

2024年度前期の「虎に翼」に見たように、女性の権利は最近になってようやっとここまでのものになったこと。憲法の策定が国内では話にならなくてGHQが介入していたこと。権利は先人が戦って勝ち得てきたものであること。この先どうなっていくのがいいのだろうかということなど。

知り、考える、クイズ多め、ディスカッションありの楽しい時間でした。

今でこそ、ぞんざいな扱いを受ければ「ハァ?!」と言える空気も出てきているように感じます。

ほんの少し前まで、なんなら団塊の世代の少し下くらいまでは、性別や家庭内での役割に、今よりもかなり縛られていたのだろうと感じています。時代の価値観ですね。

先人が勝ち得てきた女性の権利、ひいては基本的人権なんかは、絶対に手放してはならない、侵害を許してはならないものだと改めて感じました。

自分だけでなく、これからを生きる子どもたちのためにも。

第2回「日本に女性総理大臣は誕生するか」

まず触れたのは、海外と日本の女性指導者の数の差。

なぜこんなに差が生まれているのかをデータを元に考え、どうしたら女性指導者が増えていくのだろうかというディスカッションがありました。

女性が指導者・意思決定者となるための障壁・障害を指す用語として挙げられたのが「ガラスの天井」「ガラスの崖」「ガラスのはしご」。男性主体だったマッチョ社会に投げ込まれたらそうなるよね、と感じる話もありつつ。

今回の総裁選では敗れたものの、女性総理大臣は何年後ぐらいなら誕生しそうだろうかという挙手制アンケートも。

女性総理大臣、10年後ぐらいかしらね〜、なんて思っていたら、3年後くらいにあり得るかもしれないよね、なんて意見もあって。

性別を問わず、能力があってきちんとお仕事をしてくれる、求心力のある人だといいよね、と思っていますが、3年後に実現したら、ちょっと、時代の変化の速さに嬉しくはなっちゃうかもしれませんね。

また、民主主義的平和≠女性の政治参画であるというベクトルで考えている人たちもいるように、あれこれ見落とさないようにしたいですよね。参画するだけでなく、意思決定の場に女性が増えていくことが重要だと感じました。

第3回「女性は平等になったのか」

平等原則・法の下の平等について、平等ってなんだろう?というところから考えるこの回。言葉だけがあまりに日常に浸透して、どういうことを指すのかを考えることってなかったな、と。

日常における平等には「形式的平等」と「実質的平等」があり、不足を補うことで平等を生み出すか、それとも単に表面の条件を揃えて平等とするか。

法社会における平等には「法適用の平等」と「法内容の平等」があり、誰に適用されるものか、適用される内容は実際にどうなのかなど。

ジェンダーフリーが声高に叫ばれるようになったけれども、“差別と区別”の考え方はどこにいってしまったのか。

さらに、女性管理職はどうして増えてこないの? そもそも増えることがいいことなの? などを議論するディスカッションもあり。「形式的平等」と「実質的平等」を当てはめて、意見を取りまとめる時間もありました。

当たり前と思っていたけれど、憲法には「全て国民は法の下に平等であり〜」とあります。

先生が「権利の話をするときに『すべて国民の』というところは譲りたくない」とおっしゃっていたのが印象深く、そのとおりだなと感じました。

だって日本国民を守るための法であり憲法だもんね。これは差別ではなく、日本という法治国家で生活する上で必要な区別だと、筆者は考えています。

第4回「結婚しない若者と日本の未来」

時代が流れ、考え方が変わり《戸》よりも《個》を重視するようになってきたのはここ15年くらいなイメージ。男女ともに生涯未婚率も上がっているし、少子化はノンストップ。

この回は、統計データを見ながら、結婚パターンの推移や、非婚化の進行や主な原因、教育と雇用の役割や、結婚と家族に対する意識の変化などについてお話を聴き、考えました。

昨今、経済的な基盤がグラグラなのは大前提なので、その他印象に残った点を以下に。

結婚において必要不可欠なパートナーシップの形成が、若者の間であまり積極的に行われなくなった一因として考えられるのが、1997年頃のトレンディドラマの時代の終焉。

恋愛や結婚がエンタメの主題ではなくなったことが一因になっていると見えるとのこと。たしかに、年代とさまざまなグラフの重なりは、なかなか合致していました。

また、男女の教育格差や雇用機会の差が小さくなったことも一因として挙げられました。高等教育を受けた女性はキャリアを優先して結婚を先延ばしにする傾向も強まっているとのこと。でもこれは、女性として理解できるなと感じました。

結婚だけでなく、少子化にも同時に焦点を当てれば。性別を問わず法的に同性パートナーシップが認められたり、婚外出産が広く受け入れられるようになれば。生涯未婚率の増加や少子化は解消していく機運はあるのではないかなとほんのり思っています。

法律婚の枠がもっと広がれば。もっと家族がもっと柔軟な形で作れれば。日本の未来は衰退の一途を辿らずに済むのかもしれないなと思いました。

興味を掘り下げて考える有意義な時間

たまたま見つけた今回の講座でしたが、興味と合致していたこともあり、とても楽しく有意義な時間となりました。

期間も受講料も手頃で、気軽に学習意欲を満たせる講座でした。

お住まいや近隣の自治体にも生涯学習推進事業があれば、気軽に参加してみることをおすすめします!

⚫︎受講した講座はこちら
令和6年度 川越大学間連携講座 尚美学園大学共催事業
「法と政治の世界からみる女性たち」

⚫︎次回開催の講座はこちら(2025年2月開催)
令和6年度川越大学間連携講座 女子栄養大学共催事業
「地域と食文化 ー知ろう、味わおう、考えようー」

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蓮水おり(ori hasumi)

美味しいものと美術展とライブをテンション高めに楽しむワーママでバンギャ。コーヒー歴15年超の、J.C.Q.A.認定コーヒーインストラクター2級。12星座をモチーフにしたオリジナルブレンドのコーヒー屋を営んでいます。

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