美術館へ行き、その土地発祥のカフェでコーヒーをいただき、土地の味覚とお酒を楽しみ、お土産も買って、いざ帰路へ。
普段、新幹線に乗るときはお酒をお供にするのですが、今回は美味しい地酒をいただいたばかり。どうしようかな……とうろついていたら、ダッチ式のウォータードリッパーを発見！！
先に立ち寄った向山製作所のお向かいにある富久栄珈琲の、ダッチ式で抽出した『マンデリンスペシャル』をいただきながら帰ることに決定です！
2秒に1滴。1日がかりで抽出する贅沢なアイスコーヒー
ダッチ式のウォータードリッパーは造形も佇まいも美しく、それだけでもう愛せるのですが、抽出されるコーヒー液も、それはそれは美味しいのです。
水出しとは思えないほどに豊かな香りとやわらかな口当たり。それぞれのお豆の持つ特徴はしっかりと生きるのに、酸味や苦味のイヤな部分は出てこないという素晴らしいもの。
酸味や苦味もお豆の個性なので、ないからいいというわけではなく、それぞれの良さが引き出されます。
上部のタンクから少しずつ少しずつ注水され、お豆を通過して抽出されるコーヒー液はなんと、2秒に1滴。じっくりゆっくりと時間をかけて、そのお豆のいいところだけを抽出していきます。
アイスでは初めましての『マンデリンスペシャル』
結論から言うと、とても美味しかったです。しっかりとした苦味はありつつもまろやかな口当たりで、香ばしい後味とふくよかな香りが余韻として残ります。
もともと酸味の少ないお豆のため、時間が経ってもイヤな酸味が出てくることもなく、味わいもしっかりしているので氷が溶けても最後まで美味しくいただけました。
イルガチェフェ、売り切れてくれてありがとう……いい出会いになりました……。好き。
ダッチ式だとこんなに美味しいのはなぜ？（※オタクの早口でお送りします）
「好みとかけ離れたものをなんとかして美味しく楽しみたい！」という執念……もとい、知恵と工夫の結晶がダッチ式の水出しコーヒーです。ダッチ＝オランダ人が執n……こだわり抜いて、イヤな苦味や雑味を抑えて抽出する方法を編み出しました。そりゃ美味しいわけです。
ダッチ（＝オランダ）式という名前ですが、発祥はインドネシア。17世紀の初頭に設立したオランダの会社が、当時オランダ領だったインドネシアに進出したところから始まります。
カフェ文化が根付いていたヨーロッパでは、アラビアから伝播した華やかな酸味のある軽やかな飲み口のコーヒーが好まれていましたが、その頃インドネシアで栽培されていたのは、苦味が強く大味なロブスタ種。ヨーロッパで馴染みのあったお豆とは全く違う特徴を持ったロブスタ種を、なんとかして美味しく飲む方法を模索して行き着いたのが、ダッチ式の抽出方法でした。
ちなみに……
インドネシアのスマトラ島で採れるアラビカ種「マンデリン」も、酸味はほとんどなくどっしりとした風味が特徴のお豆。深いコクがあって、力強い大地のような風味と例えられることもあります。
別のスマトラのお豆を使ってハンドドリップでアイスコーヒーを淹れてみたこともあるのですが、どっしりとした大地感が強く出てしまったこともあり、個人的にはアイスコーヒーには不向きな印象を持っていました。
ダッチ式で抽出したマンデリンと出会い、新たな潤いがひとつ増えて喜ばしい気持ちです。
ゆったりのんびり、美術展のリーフレットやポストカードを眺めてみたり、撮った写真を眺めたりしながらの帰路にぴったりのお供でした。
郡山駅1階、おみやげ館の入り口すぐ横。
郡山駅直結の駅ビル、エスパル1階のお土産館を入ってすぐの一角に、目を引く装飾のコの字型のカウンターが富久栄珈琲です。左右のどちらの入り口から入ってもすぐ。
テイクアウトのコーヒーのほか、ビーントゥバーチョコレートやリキッドコーヒー、こだわりの自家焙煎豆も販売しています。
郡山市内に本店を置くお店なので、コーヒー好きな人へのお土産にもいいですね。良い気候の日には駅前のベンチでコーヒー片手に休憩するのも気持ちよさそう。
こだわりお豆で淹れるダッチ式アイスコーヒーを、ぜひ味わってみてください。
『富久栄珈琲 エスパル郡山店』
所在地：福島県郡山市燧田195 郡山駅おみやげ館
営業時間：9:00 - 20:00
