取材に際し、許可を得て撮影をさせていただきました。一般の方の展示室内での撮影はできません。
江戸風情残る街・川越。駅前の商店街から蔵造りの街並みを抜けて右に折れた先に、川越城の本丸御殿があり、その向かいに川越の歴史や風土を学べる市立博物館、市立美術館が隣接しています。
川越市立美術館で、2024年10月26日から12月8日を会期に開催している『江戸のお洒落装身具(アイテム) 袋物、髪飾り、そして江戸風俗の世界』。江戸の粋を小江戸で見るなんて、小粋でいいじゃない? ということで、取材させていただきました。
こだわりが詰まった袋物は、想像していたより相当にお洒落
「袋物」は、身の回りのものを収納するための袋状のものの総称。現代でいうポーチのようなものが、煙草入れや紙入れなど用途の広がりによってさまざまに発展していました。古事記に燧袋(ひうちぶくろ)が登場するほど、その発祥は古いのだそう。
こうして並んでいるものを見ても、素材や袋の絞り方、使い込まれて育った感じがなんとも味わい深く感じられます。
「燧袋(ひうちぶくろ)」は根付けのお洒落がアツい
燧袋は、一般的に巾着型の袋。火をつけるための道具であった火打石・火打金・火口を収納する袋で、袋物の中で最も古い歴史を持っています。
根付けや前金具にも凝った意匠があり、単にものを入れるためのものではなく、装飾品としての役割も果たしていたと言われています。珊瑚や鷹の爪など、素材のままの形を生かしているものもあります。かっこいい。
細部にこだわりが見える「煙草入れ」
煙草入れは、煙管と刻み煙草を持ち歩くための袋。筒状のほうに煙管を、叺(かます)に刻み煙草の葉を入れるもので、叺のふちには煙草の葉を掬い取りやすいようにスリットがあるものが多いそうです。
展示されている煙草入れの多くは、マチなしの平らなものが多かったように見受けたのですが、上の画像の爪菖蒲筒差し煙草入れはマチがあり、鮫皮が施されています。
こちらは筒の部分を帯に挿して持ち歩かれたもの。個人的には柄は右側のものが好きですが、さらに好みに刺さったのは左側の前金具。
この前金具の鉗子を象ったものなのですが、なんと動くんですって! お洒落!
こういう細かなこだわりが大好きなんですよ。たまらん。きっとこういうものがたまらん人が江戸時代にも居たということですよね。
波の模様に鯉の前金具をつける発想。なんてお洒落。ものづくりをする人の感性って、いつの時代も豊かなものですね。
叺と煙管筒をつなぐ板鎖の装飾もとても可愛くて。銀製の鎖に、紅色は珊瑚の飾り。珊瑚の色が入ることでグッと華やぎが増すようで素敵。
ちょっとロココな雰囲気の模様のこちらも煙草入れ。
中の柄の鮮やかなこと! 見えない部分のお洒落がすごい!
自分好みのものを誂えることも多かったようで、それぞれにこだわりが詰まっているのも、現代のお洒落に通ずる部分があるのかなと感じました。
信仰が身近なものになり一般化した「守り袋」
画像は懸守(かけまもり)という、お守りを入れる袋物。江戸時代には民間信仰や習俗がみられるようになり、一般に馴染みの深いものだったのだそう。
アクセサリーのような小型のものから、布製の袋型、箱型のものも。中に入れるお札なども、大きかったり立体的なものもあり、現代のものよりもバリエーションも豊かでした。
どの駅からもバスが便利。蔵の街散策も楽しい。
川越市立美術館は、観光名所である蔵造りの街並みを抜けた先の辻から右に逸れた先。川越城の本丸御殿の向かいにあります。
いちばん近い、西武新宿線 本川越駅からも徒歩25分ほどと、少し距離があるため、本川越駅、JR埼京線・東武東上線 川越駅からもバスの利用が便利です。
とはいえせっかく出向くならば、小江戸散策をしながら行くのも楽しそう。街中にはレンタル着物などもあるので、和装で鑑賞も粋かもしれません。
『江戸のお洒落装身具(アイテム) 袋物、髪飾り、そして江戸風俗の世界』
⚫︎会期:2024年10月26日〜12月8日
⚫︎会場:川越市立美術館
⚫︎アクセス:こちらからご確認ください
⚫︎開館時間
午前9時から午後5時まで(入場は午後4時30分まで)
⚫︎休館日
月曜日
⚫︎観覧料
一般 700円(560円)
大学生・高校生 350円(280円)
中学生以下 無料
※( )内は20名以上の団体料金。
※着物で来館の場合は団体料金にて観覧可。
※身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳、障害者手帳アプリ「ミライロID」を提示の本人、及び、付き添い1名無料。
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