東京都港区の東京都庭園美術館で開催中の『戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見』。タイトルのとおり、第二次世界大戦によって東西に分断されたドイツのうち、西ドイツのグラフィックデザインの魅力を伝える展覧会です。
ポップなビジュアルデザインに惹かれたのはもちろん、ナチスドイツの弾圧や戦争の影響など、個人的に興味のあることが重なった『戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見』。実際に拝見し、お話を伺ってきました。
まずは、どんな展覧会なのか、からお伝えします。
戦後西ドイツのグラフィックデザインを構成要素別に辿る

モダンデザインの思想と新たな造形教育により、世界に多大な影響を与えたバウハウス。芸術と工芸の融合を目指し、モダンデザインの礎を築いた画期的な存在でした。
ドイツにて1919年に創設された同校。しかし、ナチスドイツが批判と弾圧を強めたことにより、1933年に自主解散という形で廃校となります。バウハウスの閉鎖後、多くの芸術家たちは国外に亡命。その影響が世界各地に広がりました。
戦後、西ドイツには、そのバウハウスの理念の継承を目指すウルム造形大学が開設。1953年から1968年までの15年という短い期間で閉校するものの、デザインの理論と実践を発展させ、デザイン教育の分野でも大きな足跡を残します。

その後1950年代末にはGNP(国民総生産)が世界2位となり「経済の奇跡」と称されるほど経済的躍進を果たした西ドイツ。グラフィックデザインと商業が密接な関係にあったことから、オリンピックや「ドクメンタ」という現代美術展など国際的イベントのイメージ形成にも大きな役割を果たしました。
『戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見』展で展示されるのは「A5コレクション デュッセルドルフ」から選ばれたもので、日本初公開。
幾何学的抽象、イラストレーション、写真、タイポグラフィの観点から選ばれたポスターを中心に、雑誌や冊子、広告用の小物などさまざまな作品を展示しています。
本館と新館を贅沢に使った展示構成

東京都庭園美術館の本館は、旧朝香宮邸。アール・デコ様式の空間を贅沢に使い、建物の造形や庭園の景色も併せて楽しむことができます。ゆとりを持った展示で、作品をひとつひとつじっくりと楽しめる構成です。

新館では打って変わって、街中に張り出された様子を再現するかのように、たくさんの作品がずらりと展示されています。圧巻!
繁華街や駅のコンコースなど人の流れの多い場所や、映画館や劇場の掲示板のようにたくさんたくさん、たくさん展示されています! でもどれもおしゃれ。
会期は2025年5月18日まで!心躍るグラフィックデザインを今すぐ見に行って!

東京都庭園美術館は、JR・東急目黒線の目黒駅から徒歩7分ほど。園内の穏やかな並木道を進んでいくと、本館が見えてきます。
方向音痴を極め、プロ迷子を自称する筆者。駅から少し距離があるので心配ではあったのですが、意外と曲がり角も少なく、地図があればちゃんと辿り着けました。大丈夫!
正門を入ると、空気が穏やかに変わるような気がしましたね。
次回は、グラフィックと密接な関係にある商業に関するデザインに焦点をあててご紹介します。
『戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見』
⚫︎会期
2025年3月8日(土)〜5月18日(日)
⚫︎時間
10:00 〜 18:00 (入館は閉館の30分前まで)
⚫︎会場
東京都庭園美術館(本館+新館)
⚫︎アクセス
・JR山手線「目黒駅」東口/東急目黒線「目黒駅」正面口 徒歩7分
・都営三田線・東京メトロ南北線「白金台駅」1番出口 徒歩6分
※白金台駅エレベーターは2番出口。
その他詳しくは東京都庭園美術館公式サイトをご確認ください。
⚫︎休館日
毎週月曜日
⚫︎観覧料
オンラインによる事前予約制を導入しています。
◆観覧料一覧
一般 1,400円
大学生(専修・各種専門学校含む) 1,120円
中学生・高校生 700円
65歳以上 700円
※別途団体料金の設定あり。詳細は展覧会公式サイトをご確認ください。